《MUMEI》

夕方、僕は御所望に預かった飲み物をアンリ様の御部屋に御運びしていました。

「失礼致します、林檎ジュースを御持ち──、アンリ様?」

「ぁ、ありがとう持って来てくれて──」

「どうぞ」

「ありがとう」

アンリ様は、昨日依頼あまり体調が優れないようで──午後はずっと御部屋に籠ってらっしゃいます。

「絵を──見てらしたんですね」

「うん。でもやっぱり──また本物の虹が見たいな」

「また雨が降れば、見られるかも知れませんね」

「そうだね」

アンリ様は林檎ジュースを含み、窓の外に視線を移されました。

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