《MUMEI》
LAST1
とうとう ボクの人生 最期の日がきてしまった。

あれから ずっと…

そう ずっと 夢ならいいのに…と思い願った…。

でも 夢じゃない。
これは 現実…。

家族は
今日がボクと過ごす最期の日という事を
知らない。

今日までは…

ボクがいる今日までは
ボクと一緒に 笑っていて。

ボクを 感じて。

久しぶりに
トランプなんて
持ち出して
家族に やろう!
と言ったら
喜んで一緒にやってくれた。

何回も 何回も…。

以前までは ?こういう事が 面倒だった。

だから
あまりやった事がなかった。

今から思えば
もっと 家族と楽しめばよかった…。

もう遅いけど…。

ここ数日は

家族に さりげなく
ボクから伝えておきたい事を 話してきた。

ボクが
急にいなくなっても
なるべく家族が 困らないように…。

だんだん その時が近づく…。

どんどん 時間が過ぎていく…。

怖いよ… 怖いよ… 怖い

でも 限界なんだ…。
ここに
ボクが生きているのは…。


ボクは 静かに
家族から 離れる。


そして
見なりをきれいにした。

最期のボクの正装かな。

本当は 死にたくない。

でも 生きていられない。

死ななきゃ…
死ななきゃ…。


自分で 自分を追い込む。

『遺書』をそばにおいた…。


ボクは 用意しておいた カミソリで 手首を切った…。


ボクの父親が
過去にそうしたように…。

ボクも布団の中で…。


ボクは どこへ行くんだろう。

静かに目を閉じる。


ごめんなさい。


こんな形で サヨナラで
ごめんなさい。


今まで ありがとう。


さようなら…
さようなら。


ボクは 最期に

人生で最大の
『賭け』をした。

もし…
生きてかえれたら…。

ボクの第二の人生の
大切な
『最初の日』に
したいな…。

その時は
ボクの犯した罪を
自分の口から
家族に謝る事が できるだろう。

もう 決して 同じ罪は おこさないと…。


そして

ボクの意識は

遠ざかっていった…。

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