《MUMEI》
ざ☆ガードルズ②
「随分ご機嫌だな…」





今にもスキップしそうな勢いの裕斗を少し見送った後、俺はエントランスを通り階段を上がった。





惇の部屋の前に着きドアフォンを押す。


「………?」

何時もじゃすぐに開くドアがぴくりともしない。




外から見て部屋に明かりもついていたし何しろ裕斗が出てきた訳だしいない訳がない。




「トイレか?……







ガチャ……






「入るぞ?惇、いいか?」





まだいきなりずかずか入り込んだ事がないからちょっと遠慮がちに俺は言った。



「だ!ダメッッッ!!入っちゃ!こっちぜって~くんなッッッッ!!」


「じ、惇??」





ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン





「ぜって~ダメえ!
ア~ンッッッ!!」
「じゅん………?」


――何がなにやら。



玄関からはキッチンしか見えなくて奥の、おそらく惇がいるであろう部屋は見えない。




「……ゴメン!わかった!ちょっと煙草買ってくるから!
なんかわかんねーけど大丈夫になったら電話して?な?」






まあ例え付き合ってる仲だとしても見られたくない事だってあって当然だ。





ちょっとは余裕のあるところ見せたいしきっとあえて聞く程の内容でもないだろう。





俺はドアノブを回し玄関扉をキィイ…と音をたてながら開けた。




「待って~!隆志行っちゃイヤダあッッッ!!」



「……惇?………、……玄関で待ってればいいのか?」



「うぅ~…、最悪だ~、裕斗のバカヤロ~……」



「…………裕斗?」




ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン…





「あ~もう外れね~ッッッッ!!」




「惇!入るぞ!!」

「ダメッ!ぜって~ダメッッ!!」



ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン………




「ア~ン…」




ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン……



「…惇………」



「やだも~馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿あ~…」


俺はそっとシューズを脱ぎ、そっと部屋に足を踏み入れた。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫