《MUMEI》
前の日
正平は人付き合いが苦手になっていた。学校での作文の宿題テーマ「家族」が一行も埋められなかったことをクラスで騒がれ、億劫に感じた、更に昌を思い出して皆の前で泣いてしまい、なんだか情けなくて、恥ずかしく思えた。



「家族」、複雑に世の中が成り立っているように正平の家族も複雑に絡み合って形成されている。
支えていたはずの昌の失踪により、崩壊したカゾク。
楽しい家族、父親が愛人を連れて来る家族、母親が自分にばかり過保護になる家族、全てを知っていながらいじめをうけても何も言わずにいた兄が消えた家族、

カゾク、カゾク、カゾク……
正平は鉛筆は止まったまま、虚ろな目で遠くを見た。
生徒達は兄の失踪を知り、正平に接するときは腫れ物を触るようになる。
父も母も、いじめを受けていたことに正平が言い出すまで気付かなかった。




正平は家で持ち帰りの宿題になった作文用紙を破り捨てた。
机の中でバラバラになる、先生が文句をつけられない程の、笑顔に溢れた家族達。
父が明日のピクニックに行く場所を雑誌で探している、母は台所でお弁当の下準備をする、兄と一緒に食卓テーブルでオセロをする。




そんな、家族。

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