《MUMEI》
星砂
だんだんと、陽射が夏らしくなってきて、そんな時、アンリ様が行きたいと仰られたのは──海でした。

「わぁ、綺麗ーっ」

「水が澄んでますね──」

「あっ」

「アンリ様‥?」

駆け出されたアンリ様の後を追うと、少しして見慣れない物を見付けました。

「何でしょう、これは──」

「星砂だよ」

「星砂‥?」

「ほら、この砂──お星様みたいでしょ?」

「本当ですね」

只の砂では無いようです。

「ぁ、そうだ──」

アンリ様は、ポシェットから小瓶を取り出されました。

「星砂を入れるのですか?

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