《MUMEI》
普通じゃない頼
[…何で、祐也がその名前を…]

[まぁ、座れよ]


頼は操り人形のように、ぎこちない動きで座った。


[俺は、お前とエイミーに何があったか知らない]

[じゃあ、…何で!? 何で祐也が!?]

[落ち着けよ]

[これが落ち着けるか!]


(…まずいな)


興奮する頼に、店内の人々の視線が集中する。


(ただでさえ、こいつ目立つのに)


そして、ふと、視線を外に移す。


向かい側…


忙しく動く志貴が確認できた。


[場所変えるか]


今なら、志貴に気付かれず移動できる。


(それに、もう帰ったと思われるだろうし)


実際、予定より長く俺と頼はカフェにいた。


[…近くに公園があった]


(アパートまで待てないんだな)


[わかった。続きはそこで話そう]


そうして、俺と頼はカフェを出た。


[木陰は意外と涼しいな]

[いいから早く説明しろ!]


頼はかなり余裕が無かった。


(珍しいな)


…というより


(初めてだ、こんな頼は)


俺は、戸惑いながらも頼をなだめつつ、ベンチに並んで座った。

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