《MUMEI》
「じゅんッッッ!!」
「た、たかしッッッッ!!!」
ベッドに繋がれている惇!
駆け寄り急いで腕を外す。
「大丈夫か?怪我は?痛くないか?何があった?どうして!!」
「…ヒッグ…ぅう〜……、後ろ向けよ〜ッッッ……やだ…やだ……」
「惇?」
「い〜から後ろ向けってば!!どこも怪我してねーからっ!早く!早くっ!は〜や〜くッッッ!!」
「………はい」
俺は惇に背を向けた。
▽
「ぅう…」
俺の横を素通りしキッチンに向かう惇。
燃えるゴミ用の蓋を開けて力任せに何かを叩き捨てた。
「惇?」
「…………」
キッチンに掴まりながら細い体を震わせている。
「裕斗の仕業なのか?」
「……あの馬鹿しかいねーだろ、こんな事させんのは…」
「…なんかされたのか?」
惇は黙ったまま頭を左右に振る。
「そっか、ならイイけど…、な?パンツ一枚じゃ風邪ひくぞ?さっき着ていたの着といた方が良くないか?………え?」
惇はゴミ箱から拾いあげ鬼の形相で俺の正面に来て、それを両手で大きく広げた。
「隆志が着ろよ!」
「…………」
「…………」
「…………」
「…なに、それ……」
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