《MUMEI》

「うん。持って帰ろうと思って──」

アンリ様は星砂を掬い、小瓶に詰めてコルク栓で封をすると──大切そうにポシェットにしまわれました。

「あ、テトラポット!」

「‥テトラポット‥?」

聞き慣れない言葉に、首を傾げていると──アンリ様が僕の手を引いて駆け出されました。

「ほら、これだよっ」

「これがテトラポット‥ですか──」

石像のようにも見えます。

「堤防のような物ですか?」

「うん」

「大きいですね──」

「ねぇ、貝殻拾いしない?」

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