《MUMEI》 「貝殻‥ですか?」 「うん、貝殻──綺麗なのも沢山あるんだよ。ほら、あっちにも」 アンリ様があちこちへ駆けて行かれるその度に、白いワンピースが、ふわりふわりと風に靡いて、僕は貝殻を拾うのも忘れてその様子を見つめていました。 「リュート、ほらっ、これ──」 「?」 「はい、リュートにあげる」 「僕に‥?」 「うんっ」 「ゎ‥、有り難うございます──」 「あっちにね、沢山あるんだよ。ほら、リュートも行こう?」 「──はい」 僕は頷いて、アンリ様と砂浜を歩き出しました。 前へ |次へ |
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