《MUMEI》

「アンリ様、それは──何を作ってらっしゃるのですか‥?」

「お城だよ、砂のお城」

「砂のお城──ですか?」

「こうやってね、少しづつ形を作っていくの。リュートもやってみる?」

「僕ですか‥?」

「楽しいよ」

「ええと‥」

「一緒にやろう? 教えてあげるから」

「はい、では──」

砂の御城作り、僕も御一緒させて頂く事になりました。

広い砂浜で、居るのは僕とアンリ様の2人きり。

波の音が辺りに木霊して──空の向こうへ、カモメが1羽飛んで行きました。

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