《MUMEI》
百万回ついたウソ
「俺が今、仕事無くしたら困るもんね?お金が大事だもんね……?」





「……そう。
困る。
もう、これ以上私を失望させないで頂戴。」

千歳との事を指しているのだろうか……


「国雄は、そういうのじゃないから……母さん分かってよ、愛してとは言わないから……俺は女の人を好きになれない。国雄はそんなイカれた俺を好きって言ってくれる、生まれて始めて慈しむ気持ちを教えてくれたんだ。」

こんなに母さんの前で話したのは初めてかも。
中学に上がると同時に寮に入れられた、それまでも母さんはピアノの先生をしたり、ミサで教会までピアノを弾きに行ったり。
俺は物心が付く前から子役として出ていて、千歳達が面倒を見ていたから母さんとは擦れ違いでまともにコミュニケーションが取れていなかった。


「子供だから、まだ知らないの。
遊びの方が幸せだわ、遊びなら幾らでも許してあげる。真剣にお付き合いするのは今はいいかもしれない。でも先の事は?傷付いてからじゃ遅いの。」

あ……酷い。
母さんたら、国雄のこと信用していないんだ。




「俺は母さんみたいにならないっ……母さんみたいに、父さんに捨てられ、愛人に見離されるようなことにはならないっ……」

口が、勝手に動く、止めて、嫌だ……






     パアン

花火でも弾けたように、衝撃で首が反対に向く。
頬はじんわり熱を帯びる。

先刻の自分がいたたまれなくなり、外に飛び出した。

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