《MUMEI》

その頃…
杳子の結婚相手の、神野 光司は、山道を歩いていた。


『フウ…やれやれ、近道とは言え〜山道を歩くのは堪える。

夏休みで人気の無い学校に呼び出しとはね…

結婚式前日だと言うのに〜学園長、あくまで反対するつもりだな。』


…しかし、あのガミガミ園長…珍しく真面目な声をしていたな。
こりゃ、いよいよ、クビかもしれないな…


チカッ…
『ん?なんだ、今の光は…』
神野は、光の方に目をやった。


『ん?崖下の木に、人が引っ掛かってる?!いったい、なんだってこんな所に引っ掛かって…』
神野は〜近づき倒れてる人を助け出した。


『ははぁ、あの崖から足を滑らしたんだな?しかし、どうしてあんな所に紛れ込んだんだ?

柔らかい木の枝と茂みのお陰で、打ち身とかすり傷だけだ、不幸中の幸いだな。

さっき、目を射た光は〜このペンダントか…綺麗な子だ…

紫色の服が良く似合う、大人びてはいるが…杳子と同じ位の年齢かな?』


少女のポケットには…遺書と書かれた封筒が入っていた。

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