《MUMEI》 とめどない白い光が肌のなかで溶けていきます。 難しい勉強も 今日一日の学校の出来事のお話も 父さんと母さんのケンカも 兄ちゃんがいないとダメでした。 離れちゃ、いけませんでした。ぼくが、淋しくて死んでしまいそうでした。 「ぼくも兄ちゃんの所に行きたい。」 こんなに淋しいくらいなら、もう兄ちゃん以外のものは全て捨ててしまってもいいです。 声を聞いたら、甘え出せずにいられなくなります。 考えることを放棄します。 ぼくの世界はここにありました。 温かい兄ちゃんの腕の中、他には何も要りません。 兄ちゃんが居たら、そこがぼくの帰る場所です。 前へ |次へ |
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