《MUMEI》
死刑宣告
『……と言うように、被告は逮捕された後も、架空のアリバイを想定し、明白な罪状より逃れようと工作し続けました。


これ等の理由によって被告に情状酌量の余地は無く〜よって、被告神野 光司に、死刑を求刑致します。』

検事が淡々と言った。


『死刑!!』
杳子は、動揺した。


『大丈夫よ、滅多な事じゃ求刑通りには、ならないんだから。』

梓が、声をかける。


『…でも…』


『では、判決―――
本法廷における裁判官は、全員一致で、被告神野 光司を……


《死刑に処す!!》


『死刑!』『死刑?』
傍聴席から〜声が上がる。


『あ…あ…』
茫然自失の杳子。


杳子は、手のひらの中の幸せが…サラサラと砂のように指の隙間から落ちていくのを感じていた…

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