《MUMEI》 「だけど……。」 「全て……俺が悪いんだよ。」 まただ。 「いつも颯ちゃんはそうやって……。」 俺は拳を強く握り絞めた。 「いつもいつもどうして颯ちゃんは独りで抱え込むんだ?」 「………。」 「俺や賢ちゃんに少しは打ち明けてくれてもいいだろ?」 「………。」 「戻ってよ!! 前の颯ちゃんに。」 「戻れよ!!」 颯ちゃんの両肩を揺すぶった。 「笑ってよ。 前みたいに……。 なあ!!」 だんだん目尻が熱くなって来て……。 気付けば泣いていた。 泣かずにはいられなかった。 「悔しいよ。」 肝心な時に大切な友達を助けることが出来ないなんて。 情けない。 この時程、自分の不甲斐なさを恨んだことは無かった。 ただひたすらずっと……。 俯いて、声を殺して泣いた。 前へ |次へ |
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