《MUMEI》

「アンリ様‥?」

「何だか、迷惑掛けてばかりだね‥」

「何を仰いますか、貴女様は──」

「だって‥‥‥‥、?」

「前に貴女様が仰って下さったように、僕も、アンリ様がこうして居て下さるだけで幸せです」

「───────」

「僕も有りますよ」

「?」

「もっと上手く御菓子を作れるようになりたい、もっと御役に立ちたい‥そう思います。ですが、側に居るだけでいいと──貴女様がそう仰って下さった時、本当に気持ちが楽になったんです」

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