《MUMEI》 分裂「気が済んだらさっさと離れろ。」 溢れて来る涙を仕切りに堪えていると、 低い声が聞こえた。 そこで未だに颯ちゃんの肩に手を置いていたのに気付く。 「早く離れろ!!」 「ご、ごめん。」 慌てて手を放した。 でもそんな乱暴に言わなくても良いじゃねぇか……。 まさか……。 信じたくない一心で顔を上げると、 颯ちゃんは物凄い形相で俺を睨み付けていた。 そして……。 「お前……人間だ。」 語尾を悲しみに揺るがせながら、 そう言った。 やっぱり……。 “涙見せんなよ” 賢ちゃんから忠告を受けた言葉。 こう言う意味だったのか……。 「待ってよ!! 確かに俺は人間だ。 でも颯ちゃんだって……。」 「言うな!!」 先を急ごうと背を向けた颯ちゃんが、 振り替えずに怒鳴った。 「そのあだ名で二度と俺を呼ぶな!!」 「そんな……。」 だんだんと遠ざかる背中を眺めながら、 途方に暮れた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |