《MUMEI》 夕暮れ時──。 「楽しかったね」 「はい、僕も楽しませて頂きました」 「──ふふっ、良かった」 「御荷物──御持ち致しましょうか」 「大丈夫。そんなに重くないから」 アンリ様は仰り、空を御覧になりました。 「夕陽、綺麗だね──」 「そうですね」 「明日もいいお天気になるね」 「はい」 明日の空も、きっと、あの海のように──。 「ねぇリュート」 「はい」 「ありがとう、海──連れて行ってくれて」 「喜んで頂けたのなら、何よりでございます」 また、御連れ致しましょう。 今度は、白いイルカを見に──。 前へ |次へ |
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