《MUMEI》 「遅かったな。」 「すみません。」 「誰かと話していたのか?」 「はい。桐海蓮翔と。」 その言葉を聞くと、 父さんは顔をしかめた。 「まだ懲りて無かったのか!!」 そして、右拳を振り上げる。 俺は咄嗟に、 「もう二度と関わりません。」 そう言った。 父さんも満足したようだ。 「そうか。」 右拳を下ろすと、 「早く準備して来い。」 俺を部屋へ行くよう促した。 「はい。」 急いで部屋へ向かって行く中、 “躊躇い”そんな思いは一度も起こらなかった。 昨日まで笑い合っていた賢ちゃん。 ついさっきまで話していた蓮翔ちゃん。 今は顔さえ浮かばない。 前へ |次へ |
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