《MUMEI》

木陰でひと休みされた後、アンリ様は愛しげに向日葵を見つめて居られました。

飽きる事無く、只一心に。

「本当に御好きなんですね、向日葵──」

「夏が終わったら枯れちゃうから‥」

「‥アンリ様‥?」

「だから、見ておきたいの」

「───────」

向日葵は夏の花。

夏が終われば、もう次にその季節が巡って来るまで、見られなくなってしまいます。

それが故に、瞼に焼き付けておきたいと──アンリ様はそう思われてらっしゃるようです。

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