《MUMEI》 〆華と兼松… 何故この二人が緊迫した「花札」の勝負を演じているのかと問われれば、その訳は数時間前に遡る…。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 数刻前… 伊豆の海の幸を吟味し終えた膳台の上で、冷えた徳利が横倒しに転がっていた。 〆華は老芸妓・牡丹の三味線に合わせて舞踊を舞い、ありきたりな座敷芸で兼松をもてなし終えたところだった。 宴も開きに〆華は帰り支度を進めている。 付き人らしき大柄な男が一人、菖蒲の間の外で芸妓達の帰り支度が済むのを待っていた。 酔いが回り、目の据わった兼松が、その光景をじっと眺めていた…。 前へ |次へ |
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