《MUMEI》
普通の男



(…ん?)


[…頼]

[な〜に? 祐也]


背の高い頼は、俺の頭に顎を乗せた。


[何か、…当たってるんだけど…]

[だって男の子だもん]





バキッ


[離れろ変態!]


(心配してやったのに)


俺は頼を突き飛ばした。


[酷いな〜、仕方ないじゃん。好きな子抱きしめてるんだよ? いい匂いするんだよ? 良い体してるんだよ?]

[真っ昼間っから盛るんじゃない! ここ、公園だし]


幸い、人気は無かったが、いつ誰が来てもおかしくは無かった。


[じゃあ、夜ならいい? 夜の公園なら普通だよね?]

[普通じゃない!]

[えぇ? 普通だよ。夜の公園でイチャイチャなんて]

[俺もお前も男!]

[だから?]


(あ〜 もう!)


俺は言うつもりが無かった言葉を頼にぶつけた。


[まだエイミーに未練あるくせに、俺を口説くな!]

[…]


(あ…)


うつ向く頼を見て、俺は罪悪感を覚えた。


[あ〜だからさ]

[何?]

[だから…ほら]



(…困った)


困った俺は


[志穂さんに、相談してみたらどうだ? エイミーの事]


(困った時は志穂さんだ)


そう思った。

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