《MUMEI》 順調な稽古翌日。 「ちょっと田中君」 「はい?」 (何だ?) 俺は、相田先生に手招きされた。 相田先生の隣には 部長と坂井の姿があった。 今日は、夏休みに入って初めての部活の日 バスケ部は男女共に他校に練習試合に行っており 広い体育館を演劇部が独占して、稽古を行っていた。 「何ですか? これから休憩ですよね?」 (俺、早く飲み物欲しいんだけど…) 俺は、見学に来ている希先輩と柊が皆にジュースを配っている様子をチラチラ見ながら質問した。 「あのね、頼君の事なんだけど…」 「頼が何か?」 (別に問題無いよな?) 頼は昨日俺と約束した通り、以前と同じように いや 以前以上に真剣に稽古に取り組んでいた。 あの後 (さすがというか何と言うか…) 頼は俺と別れてすぐに志穂さんの所へ行ったらしい。 そして、何と。 志穂さんは、すぐに 『答えは年末に言うわね。今の時期は行ってもすれ違うだろうし、言えば頼君すぐにエイミーちゃんに会いたくなるから』 と、言ったらしい。 「うん、絶好調なのはいいの」 隣の部長は… 何だか妖しげに微笑んだ。 前へ |次へ |
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