《MUMEI》
演出変更案
「それでね、せっかくあんなにやる気有り余ってるなら、頼君の出番増やそうと思って」


(…出番?)


笑顔の三人に、俺は何故か寒気がした。


「これ、一応変更案」

「…」


俺は、坂井から紙を受け取った。


そして


「無理! 無理無理無理! ていうか、あり得ないでしょ! 普通!」

「え〜?」×3

「可愛く言っても無理! 俺は絶対やらないから!」

そこには…


俺と頼


静と間宮男爵のシーンが


『間宮男爵、静に軽くセクハラしながら結婚の理由を語る』


から


『間宮男爵、静に結婚の理由を語りながら静を追い詰め、ベッドに押し倒し、無理矢理…』


「こんなん文化祭でできるわけ無いでしょ!?」

「別に本当にするわけじゃないのよ? ちょっとキスされて服脱がされて触られるだけだから…ね?」

「『ね?』じゃない!」


俺は坂井を睨みつけた。


「じゃあ…やめます」

「よし」


ホッとして三人の元を去る俺には聞こえなかった。


『じゃあ、やっぱりあっちにしよう』


そう言って


ラストシーンの演出が変えられた事を


俺は、まだ知らない。

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