《MUMEI》

そして兼松は突然、不仕付けな申し出を切り出した。



『〆華…


…今夜一晩、儂の女になれ


…勿論只でとは言わん…』



兼松は下品な鰐皮のセカンドバックから札束を取り出し、〆華の前に置いた。



敷居の低い温泉芸妓とはいえ、馴染みでもない客が芸妓に体の関係を求めるなど不粋極まりない行いだった。



『兼松様……私は遊女ではございません…。


 …不見転(みずてん:体を売ること)は固く戒められております故、どうかお許し下さいませ…』



〆華は柔りと断りを入れ、その金に目もくれず、帰り支度の手を休めようとしない…。

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