《MUMEI》

「ヒョーリちゃん」


トイレに行っていたはずの檜泉が雹里に抱きついた。


「どうしたの檜泉?それよりひづきちゃんが捜していたよ」


「用が終わったら行くよ」


檜泉は雹里から離れ、1メートル先まで歩いた。


「用って何?」


雹里は床に台本を持って立ち上がった。


「ヒョーリちゃんを、異世界にね」


檜泉を笑みを絶やさずに言った。

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