《MUMEI》

泥棒だ。
私の口に含んであるハンバーガーは唾液でふやけてきた。噛むのが面倒な私の発明した画期的な食べ方だ。
隣の泥棒は構わず私の買った明日の朝ごはんを漁って食べ続けている。
猿に襲われた心境。


食べ終わったのか、ようやく離れてゆく。
      かに思えた。
カケラしか残っていない私の口に含んだハンバーガーまで食った。
やつはあろうことか口で奪った。

「バー!泥棒!」
変な奇声が出た。平手を喰らわせてやった、そして私の方が錯乱し逃げ出した。

スケッチブックを忘れたことに気付いたのはずっと後のこと。

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