《MUMEI》

栗鼠は木から降りて来ると、アンリ様の手のひらに乗りました。

「可愛らしいですね」

「リュートも触ってみる?」

「いえ、僕は‥」

「大丈夫。噛み付いたりしないよ」

アンリ様は、僕の手に栗鼠を乗せて下さいました。

「───────」

「ね、大丈夫でしょ?」

「──はい‥」

「これ、あげてみる?」

「ドングリですか‥?」

「うん、喜ぶと思うよ」

アンリ様が仰られたので‥恐る恐るドングリを差し出すと、栗鼠はカリカリと音を立てて囓り始めました。

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