《MUMEI》

「クロさん何してんすか〜!!」


「ごめんごめん。
僕も絶対入ると思ったんだけどなぁ…」


「足引っ張んなって言ったろ。」


「う…」


(こいつ後輩のくせに超生意気…!!


くそ〜!!


コース空いてたから絶対入ると思ったのに…


村木の反応速度にやられた…)


カウンターでの1点は重みが違う。


相手が『1点貰った!!』と思っていた物を、


逆にこっちの得点にする。


これは精神的に与えるダメージがかなり大きいのだ。


そういった意味で、


クロの速攻を止めた村木は大ファインプレーだった。


「取り返そう!!」


ボールは猪狩チーム。


パス回しから、


翔太と千葉のクロス。


そして千葉のロングシュート。


「ナイッシュー!!」


千葉のロングが決まる。


(くそ…!!
相変わらずバカ速いモーションだな…)


慣れないシュートモーションにディフェンスもキーパーも反応が遅れていた。


「ディフェンスしっかりしましょう!!


連取しなきゃ追い付けないですよ!!」


椎名が皆に呼び掛ける。


この状況を打破する為に、


言いたいことはたくさんあったが、


年下の椎名の精一杯の言葉だった。


「取り返すぞ!!」


「おぅ!!」


気合いが入る。


いつもは気合いを入れるのはユキヒロだったが、


今日のユキヒロは、


チームのカヤの外だった。

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