《MUMEI》

「くそ!!
取り返しましょう!!」


「おぅ!!」


赤高ボール。


パス回しから、


(日高さん上がってください!!)


(OK!!)


日高のサイド上がり。


(てことはまた…)


そう。


峰田のロングシュートだ。


(違和感?


逆回転?


…ホントだろうな。)


半信半疑の恭介。


「前出ろ!!」


峰田のロングシュートを阻止する為、


前に出る千葉。


しかし、


千葉のブロックを交わし、


峰田はロングシュートを打つ。


その軌道を、


恭介は見逃さなかった。









(…マジかよ。)









「ナイッシュー!!」











峰田のロングシュートは、


確かに通常のシュートとは逆の回転をしていた。


逆の回転だからなんだよ?


と思われるかもしれないが、


これは想像以上にタイミングが取りづらいのだ。


峰田は、


野球部出身。


元々独特な投げ方をしていたが、


野球部出身のハンドボーラーは珍しくない。


1チームに1人いると言ってもいいくらいだ。


そしてその野球部出身の選手の最も恐い所は、


その肩の強さにある。


ユキヒロが機能しない為、


峰田は初めて自分中心に攻めた。


そしてロングシュートを打とうとした瞬間、


自分の前にディフェンスという壁が立ちふさがった。


とっさに、


その壁を交わそうと、


普段とはさらに違ったフォームでシュートを打った。


そのシュートは、


小指に引っ掛かり通常とは異なる回転を見せた。


しかも、


強肩の峰田。


フォームが崩れたというのに、


シュートのスピードは落ちず、


一見普段のシュートとは変わらぬように見えていた。


まさに、


偶然の産物であったが、


ここに、


魔球が誕生していた。

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