《MUMEI》
突破口
(やべぇな…


マジに逆回転してる…


あんなの初めて見た…)


悩む恭介の姿を見て、


クロが動く。


「…猪狩。」


「あ?」


「タイムアウト取ろう。」


「は?


バカか?


流れはこっちに来てんだぞ?」


「…恭介が苦戦してる。
ディフェンスを変えた方がいい。」


「…」


「勝つ為に動くんだろ?


ここで手を打っとかないとせっかくの流れを持ってかれる。」


「…わかった。」


クロの言葉通り、


タイムアウトを取る猪狩チーム。


「ビー!!」


「タイムアウトです。」








前半12分が過ぎ、


スコアは8対4。


最初に4連取を奪った猪狩チームだったが、


その後は点の取り合い。


ここはまさに、


流れを呼び込む重要ポイントとなっていた。


そして今、


切り札は赤高が持っていた。








「ディフェンスを1・5ディフェンスに変えよう。


峰田のロングは計算外だ。」


「いいですけど誰が前に行きますか?」


「…阿久津で行こう。」


「え?
俺すか?」


「うん。


能力的にも無難だし、


ポストが前に出とくと攻撃に移りやすい。」


「…俺もそれがいいと思う。」


「だしょ?


ちなみに阿久津。


1・5ディフェンスの経験は?」


「そりゃ…


俺も聖龍の選手ですからね。


色んなパターンのディフェンスの練習はしてますよ。」


「は?
お前聖龍なの?」


猪狩が口を挟む。


「そうだけど…?」


「全然シュート打たね〜からザコだと思ってた。」


「はぁ?
半分はお前の無理な突破のせいだろ。」


「決めてやってんだろ。」


「1歩間違えばチャージだけどな!!」


「でもチャージじゃね〜!!」


「悪運が強いんだろ。」


「…あ?」


「なんだよ?」


「やめろ2人とも。


とにかく次からは1・5ディフェンスで行こう。


文句は?」


「ないです。」


「俺も。」


「俺よくわかんないす。」


「いいんだよ!!」


「OK。
じゃあよろしくね。」


「はい。」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫