《MUMEI》
侵入部員
「六車さん、覚えてる?去年に出したイラストの大会あったじゃない、貴方が入選したやつ。」
私の所属している美術部顧問、長谷部に美術準備室に呼ばれたので気張っていたら、去年の賞状の返却だった。私がいつまでも取りに来ないから呼ばれたのだ。
この女教師は苦手だ、まだ二十代にしてやたらと神経質。つい部活から遠退いてしまう。
今日は上機嫌でよかった。「それで、大賞取った子、貴方達と同じ二年生で新しく入部したから。」
「そーですか」
死ぬ程どーでもいー……
大賞のイラストは展覧会で覚えてる。
他のイラストとは抜きん出て異質だった。
確かどす黒い内臓ばっかりのイラスト。
精神鑑定に出してみたい絵だった。
どんな複雑な感情があって、あんな壮絶なモノになるのか、女特有のドロドロを描き現せる人間像に興味がある。
一体どんな女性なのか。
穏やかそうな、外面?
真面目な優等生?
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