《MUMEI》

「あれ‥」

「?」

「今、何かいたみたいだけど──」

「何処にですか‥?」

「あそこ──」

アンリ様は茂みを示されましたが‥特に何かが居るという気配はありません。

「気のせいかなぁ‥」

「──見て来ます」

「私も行く」

「いえ、貴女様は此所に──」

「危なくないかも知れないし。ね?」

「───────」

確かにそうかも知れません。

ですが、もしも‥何か有っては‥。

「リュートが行くなら、私も行くよ?」

アンリ様は恐れる様子など全く無く、僕の手を引いて茂みへと向かわれました。

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