《MUMEI》
学園長の秘密
榊は、座席から立ち上がった。


杳子が、支払いレシートに手を掛けると…榊が取り上げた。
『あ、良いよ。俺が払う!

そこに、何気なく隠れている、君の友人達のレシートも寄越したまえ!俺のおごりだ。』

『あははっ…バレてました?』
友人達は苦笑した。


『あ、ところで、つかぬ事を聞くが…

君はたしか、孤児院で育って、あの高校へは奨学金で、通ってるそうだね。』


『ええ』


『その金…誰から出てるか、知ってるか?』


『いいえ、でも学校からでしょう?』


『ところが…その奨学金は、死んだ学園長、個人の金らしいんだ。

どうして、君に知らせず、そんな事をしたのかわからない。

故人には悪いが、ケチな事では有名だったそうだからね。』


『………』
学園長は何故、私に……?黙り込む杳子。

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