《MUMEI》

茂みの一歩手前、そこで、何やら物音が。

「やはり‥何か居るようですね‥」

「うん──」

「覗いてみても‥宜しいですか」

「待って」

「?」

僕がきょとんとした、その直後。

何かが、茂みから飛び出して来たのです。

ですがそれは、怪しい人間でもなければ、恐ろしい獣でもありませんでした。

「───────」

それは、栗鼠だったんです。

「良かったね、何事もなくて」

「はい、何よりです──」

「悪戯好きなのかもしれないね、あの子」

「?」

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