《MUMEI》
あたしたち
「「なぎ〜〜〜〜!!!!」」
振り返ってまたすぐ歩き出す。

「「ちょっと!!」」

走ったが追い付かれた。

「「何で無視すんだよ!!」」

「「!!ハモんなハゲ!!」」

「うっさいよ朝から!!」


あたし凪。本名西野凪沙、18才独身。(笑)いたって普通のコーコーセー。

あ、普通…ではない、かも。

「な〜ぎっ。今日買い物行こうよ〜」

こいつは平田九郎。

「ふざけんな!!凪はあたしと合コン行くの!!」

こいつは水下秋奈。

2人は、お隣同士の腐れ縁。(幼なじみと呼ぶのを嫌がる)

ちなみにあたしにも幼なじみがおる。おるけど…
「あ〜、カツヤ〜おはよ〜」
きた。こいつ、石川勝也。石川酒店の息子。あたしの敵。

「九郎、おまえらうるさいよ」

この態度っ。ムカつく!

「なに」

「はあ?」

「何か用?」

「……」無視。
(あんたに用なんかないっつの!!!!!話しかけんな!!!!)


「おはよーっ、あ、秋奈ちゃん、今日もメイク可愛いね〜」

「チカっ…チカだけだよそーゆってくれんのはっ…」
「100パーお世辞だって気付けよ」

ギャーギャー!!

「ふっ、2人ともっ…」

このおっとり女の子は石田千賀子。



あたしたちは、小学生のときからずっと一緒。




「凪」

カツヤがポケットから紙を出した。

「これ、親父から“女将”さんに。酒の種類が増えたから、一度味見してほしいって。」

「…」カサッ

無言で紙を受け取り、そそくさと歩き出す。

「あ…」




(あーまじ不愉快!嫌いなくせに話しかけんな!!)
カツヤはあたしのことが嫌いだ。昔は超仲良かったのに、一時期返事すらしてくれなくなった。
ムカついたから、今はあたしが返事してやらないんだ!

「ねえねえ〜、凪はさ、カツヤのこと嫌いなのか〜?」

九郎が机の下から覗いてきた。

「…知ってるくせに。大体ね、あいつだってあたしのこと嫌ってんだから!!」
「そんなことないんじゃ…」

「ある!!」



あたしを見る目。みんなと全然違う。近寄るなオーラ全開だし。

すげーやだ。あんなん。




泣きたくなる。

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