《MUMEI》

「ふふっ、寝ちゃったんだ」

いつの間にか、アンリ様が僕の傍らにいらしていました。

「帰って来た時に付いて来ちゃったのかな──」

「そうかも知れませんね」

「どうしよう‥?」

「目が覚めるまで、そっとしておいてあげましょう」

「うん──、そうだね」

「では、ティータイムの続きと参りましょうか」

「‥ぁ、ちょっと待って」

「アンリ様?」

アンリ様はテーブルから、クルミのマフィンを1つ御取りになると、それを眠り込んでいる栗鼠の傍らに、そっと置かれたのでした。

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