《MUMEI》

「アンリ様、宜しいのですか、それは──」

「クルミ入りだから食べられるかも知れないと思って」

「栗鼠が──ですか」

「うん」

「──そうですね」

「ふふっ、じゃあ──紅茶の続きに戻ろうか」

中断していたティータイムが、再び始まりました。

アーモンドケーキやキャラメルティーの甘い香りが、広間一杯に広がっています。

「栗鼠、起きたら出してあげないとだよね。でも──」

「その小さなお客様に、ケーキを御召し上がり頂いてから、ですね」

「うん。食べてくれるかな──」

「はい、きっと」

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