《MUMEI》
毛糸玉
「ねぇ、リュートのお誕生日っていつ?」

アンリ様が尋ねてこられたのは、朝──御部屋に御邪魔させて頂いた時でした。

「僕の‥誕生日──ですか‥?」

「うん、何かプレゼントをあげたいなぁって」

「───────」

「リュート‥?」

「僕に‥誕生日はありません」

「ぇ‥?」

「忘れてしまったのかも知れません。もしくは──‥」

「じゃあ、リュートが私の執事になった日がお誕生日ね」

「アンリ様‥?」

「じゃあ明日、お祝いしなきゃね」

「明日‥ですか‥?」

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