《MUMEI》

「うん。リュートが私の執事になったのは、丁度去年の明日」

「───────」

そういえば、そんな秋の日でしたね──。

「プレゼント、用意しておくね。楽しみにしてて」

「──はい、有り難うございます」

何だか、嬉しくて、くすぐったくて。

誕生日──それを尋ねて下さったのは、アンリ様が初めてです。

そしてアンリ様は、僕の誕生日を作って下さいました。

たった今。

僕の誕生日──それは僕が、アンリ様の執事になった日。

僕達の運命が、動き出した日──。

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