《MUMEI》

「え〜覚えてないの?」


そう言ってまた抱き付く。


「触るな!!」


「何よ〜ケチ!!」


これだから女って……。


ウザい。


一つため息をついて校舎へ向かおうとすると、
女が行く手を阻んだ。


「何だよ。」


行かせろよ。


マジ邪魔。


「アンタ、本当に颯馬だよね?」


「……だったら何?」


「ホントの本当に滝澤颯馬?」


「だから何だよ。」


「ホント!?」


「……ウザい。」


「え?」


「早くそこ退けよ。」


「え…あ、ごめん……。」


「それと…俺の名前気安く呼ぶな。」


「……え……。」


俺は、唖然とする女を置いて、
校舎へ向かって行った。


この時、俺はあの謎の女を追い払った……つもりでいた。


もう二度と近付いて来ないだろうと。


だけど…。


女って怖い。


昼休み。


窓辺に座って昼食をとっていると、
あの女が来た。


反射的にそっぽをむくと、思い切り顔をしかめられた。


「ひっど〜い!!

そんな嫌わなくたって良いじゃん!!」


嫌います。

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