《MUMEI》
継ぐ“身”
「ただいま〜」

「おかえりなさいお嬢様。奥でお待ちかねですよ」

受付のまきちゃん。あたしの5つ上。

「はーい。あ、父ちゃん」
「お帰り、凪沙」

このバカでかい大男はあたしの父ちゃん、清二。職業、“板前長”。

「凪沙!早く来なさい!」
この着物美人は、母ちゃん、凉子。

「“若女将”、さっきまた新しいお客様が」

「「「おかえりなさいませお嬢様」」」





そう。
あたしんちは、100年続く伝統ある老舗旅館¨にしのや¨。

そして。
あたしは、この¨にしのや¨の次期女将なのである。

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