《MUMEI》

「──アンリ様、ココアなど如何で‥」

ノックをしても御返事が返ってこないので、少し不思議に思いました。

「アンリ様‥? 大丈夫ですか‥?」

やはり、御返事はありません。

僕は思わず、扉を開けていました。

「済みません、失礼致し──」

言い掛けて、慌てて口を閉じました。

アンリ様は揺り椅子に御掛けになり編み掛けの毛糸を膝に乗せられたまま、すやすやと御休みになられていたのです。

「───────」

僕はそっと、ブランケットを掛けて差し上げました。

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