《MUMEI》 初対面で抱き付く女、 嫌いますから。 「何のようだ。」 「颯馬と少し話そうと思って!!」 「……前も行った筈だ。 俺の名前を気安く呼ぶな。」 「え〜? いつもこう呼んでたからしょうがないじゃん!」 「は?」 いつも? 俺の名前を呼び捨てで呼んでいただと? 「ねぇ、ホントに覚えて無い? 私のこと。」 「…ああ。」 すると、女は途端に悲しそうな顔に変わった。 「幼い頃、近所に“なつ”って子、いなかった?」 いたか? そんな奴。 「さあ……。 居たんじゃねぇの。」 「居たんじゃねぇの、じゃ無くて、 居たの!!!」 「ふーん。」 「梶原菜月(カジワラ ナツキ)って子、居たじゃない!!」 そう言って、女は自分を指差した。 覚えてねぇよ。 過去のことなんて。 過去はもう……。 捨てたんだから。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |