《MUMEI》 「ごめんリュート、私寝ちゃって──」 アンリ様が降りて来られたのは、丁度昼食の支度が整った時でした。 「御目覚めになられたのですね──」 「もうお昼‥?」 「はい、只今支度が整った所でございます」 「──ぁ」 「如何なされました?」 「薔薇、また摘んで来てくれだんだ──。ぁっ、ドングリも」 「落ちていたので拾って来たのですが──」 「そうなんだ、ありがとう」 「昼食を──御召し上がりになりますか」 「うん」 「──では、こちらへどうぞ」 御案内して椅子を引くと、アンリ様は静かに御掛けになりました。 前へ |次へ |
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