貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》秋桜と少女
光に導かれし空間で逢いし者達は花と幼女
自分と向き合い誘うのは小さな神
歩むのは召した後と現の今
光に覆われた空間に
たった一つの小さなドア
少女が其の先へ進むと
其処に存したのは一輪の花
少女は扉を開けました
花は其処で咲いていました
少女が言った
風情があるわね
秋桜は答えた
貴女は綺麗ね
一度は死した少女と秋桜
少女は透き通った白で
秋桜は燃え盛る紅
それらは意味を違えた
対なる二色
平静の瑩と
憤怒の焔と
片方は神々しく
片方は苛苛しく
秋桜が口を開ける
我が嘆くは烈火の怒り
短慮が故に自棄になり
足掻く者達を弄んだ
後に誰よりも理解されず
唯孤独に苦しみては
夢見て愚弄せず
そうして目を開けば此処に
死していたと思い出す
少女は答える
貴方は怨み嫉まれし
憐れな運命に従いす
愛す事を知らぬ者なり
故に怒り
故に呪われ
故に此処に存す
少女は秋桜を抱きました
秋桜は温みを知りました
何時しか其の部屋の白は
光りの刹那で成立った
淡い小さな箱でした
愛に塗れた者に哀は解らぬ
哀に塗れた者に愛は解らぬ
得る者に失いが存しても
失う者に得るが存しない
其れは不平等な世界で
不完全な未来であるが為に
等価には程遠い
瞬く間に空白の花と時
少女は決して忘れない
己の罪と向かい合った
心強き花達のことを
前へ
作品目次へ
無銘の作品を探す
無銘文庫TOPへ