《MUMEI》

真夜中、甘い香りに満たされた御部屋に、僕は居ました。

牙は白い肌に突き立てられ、流れ出すのは、喉を潤す赤い蜜。

不思議と‥以前よりも、僕はそれを欲さないようになってきています。

それは、この御方の御陰で満たされているからでしょうか──。

僕が闇であるなら、この御方は光。

暖かく、軟らかな光。

それ故に、惹かれるのかも知れません。

この御方の優しさに、清らかさに。

そして──暖かさに。

僕はいつも思うのです。

アンリ様──、その、全てが愛しいと。

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