《MUMEI》

全てのキャンドルに火が灯り、暗くなった部屋で、僕がその光を吹き消すと──シャンデリアの明かりが戻りました。

そしてアンリ様はヴァイオリンで伴奏を奏で、バースデーソングを歌って下さったのです。

誕生日というものが、それを祝って頂けるというのが、こんなにも嬉しい事だとは──今まで知りませんでした。

「ケーキ、切ってあげるね」

アンリ様はひと切れ、大きめに切り取ったケーキを僕の御皿に乗せて下さいました。

グラスには葡萄ジュース。

そして──。

傍らには、飛び切りの笑顔。

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