《MUMEI》 「どう‥?」 「──美味しいです、とても」 「良かった──」 アンリ様は僕の言葉に安堵された御様子で、 『ちょっと待っててね』 と仰られ──奥の方に何かを取りに行かれたようでした。 御戻りになられたアンリ様の両手には、綺麗なラッピング。 「はい、これ──リュートにプレゼント」 おずおずと差し出されたそれは、 ふわりとした感触。開けてみて、と仰られたのでリボンを解くと── 「──ぁ」 深い青色の毛糸で編まれたマフラーが。 「リュートに似合うと思って──」 「有り難うございます」 首に巻き付けると──、伝わってくる、毛糸の暖かさ。 とても、幸せな気持ちがしました。 前へ |次へ |
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