《MUMEI》 「大切に使わさせて頂きますね」 マフラーを首から外して、そっと袋に戻しました。 今度外に出る時には、これを身に付けて行こう、──そう思いながら。 「もうひと切れどう?」 「はい、では──頂きますね」 フォークで端を切り取って口に運ぶと、ふんわりと優しい甘さが。 「アンリ様も──御掛けになって下さい」 「?」 「貴女様も、どうぞ」 僕がケーキを切って差し上げると、アンリ様は少しはにかんだ御様子で、フォークを手にされました。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |